戦争の社会学 はじめての軍事・戦争入門 (光文社新書)

「はじめての」とタイトルにある通り、戦争や軍事を解り易く解説した本です。
全体的な流れや知識については、世界史の授業で習ったことが多いと思います。
ただ、古代・中世・近世・近代における戦争のあり方や、日本と欧米の違い、
色々な用語等の曖昧な所を、軍事の古典等を参考に明確化できます。

【戦争の定義】
「暴力によって相手に自分の意見を押し付ける行為」とあります。
あくまでも、暴力は手段であって、目的ではないわけですね。
また、国家間の暴力でも「事変」というのは何故使い分けられるのかも解説されます。

【古代の戦争と中世の戦士】
二章と三章はあくまで歴史の知識という感じです。
地政学等から、日本の中世と欧州の中世、中世の無い他の地域の比較などは面白いと思います。
さらに、四章では、銃と大砲の登場で、中世の騎士から、近世以降の軍隊、
そして近代以降の国民軍までが解説されます。
そういえば、ハンニバルは敵に同じ戦術を採られると弱かったと言われますが、
ナポレオンや日本軍もそうで、これは普遍的と考えさせられました。
また、ナポレオンの頃から、欲しい物を奪う戦いではなく、イデオロギーを押し付ける戦いが始まった事も
紹介されます。

【国際法と戦争論】
五章から七章は、国際法と戦争論各々の古典と、それらを噛み砕いた説明です。
書いた人の人生や書いた目的等も紹介されます。
西洋人が作った物が今の世界にも影響を与えているとは凄いことでしょうが、
最近はその歪みも出ているように感じます。

【ドイツ帝国と参謀】
ビスマルクと言えば鉄血宰相など好戦的なイメージがありますが、
祖国の為に国家戦略・軍事戦略を考えていたと思わされます。
最新式の交通手段を積極的に取り入れることは、後のナチスドイツには踏襲出来ていたわけですね。
モルトケの戦略を各国がこぞって真似ようとする中、日本は明治維新直後にもかかわらず取り入れようとするなど、
昔は国際情勢を理解し、役立てようと努力していたんだと分かります。

【世界大戦の変遷】
WW1は、国民国家同士の戦争で、さらにWW2では前線と後方の区別が無くなるという流れが紹介されます。
内容的には、歴史の教科書レベルに、戦術の話を加えた程度かと。

【日本軍の失敗】
極力筆者の主観を排し、当時の世界標準と、日本のシステムや戦闘マニュアルの差が解説されます。
同盟国ドイツの電撃戦、WW1の塹壕戦や、ナポレオンの失敗から何も学ばず、精神論と毒ガスに頼る陸軍の様子が、
具体的資料から分かります。
当時の国際法をいい加減に扱ったことも、アメリカの参戦ムードを高めてしまったようです。
また、捕虜になる事も、中途半端な武士道精神からか遠ざけて死ななくても良い兵士を死なせたりという
愚も犯しているとは。(捕虜になる事は不名誉どころか裏切り、というスターリンよりはマシかもですが)

【21世紀の戦争】
日本のように自分から欧米化しようとした国ならば、欧米が決めたルールに従うのも分かりますが(変な所でズラして失敗しましたが)、
イスラム世界には通用しません。
やはり、ISはハーグ協定適用外ですし、国際法上も扱いが難しい組織のようです。
もちろんISやアルカイダの犯罪自体は止めなければならないでしょうが、アメリカに歯向かう者は
テロリストというのも限界に思えます。
ロボット兵器に関する話も、色々考えされます。
ただし、この本には、筆者の解決案は提示されません。

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